放課後支援員のお悩み相談室 子どもたちにとって「支援員」はどんな存在? どう接すればいいの?

回答者:下浦 忠治

2019.10.15

支援員として働くにあたり、子どもたちにどう接していいのかよくわからず、とまどいを感じることがあります。放課後児童クラブの支援員は、学校の先生とも保護者とも違う大人として、子どもたちにどう接していけばいいのでしょうか。

支援員は、子どもたち一人ひとりを肯定し、共感の言葉をかける存在です


iStock.com/Milatas

3つの「ワーク」を意識して子どもに接しましょう

「子どもたちにとって『放課後』って、どんな時間ですか?」でお伝えしたように、放課後は、子どもたちが遊びを通して意欲と主体性を育む時間であり、好みも関心も違う異年齢の子どもたちが集団で過ごす生活の場です。そこで支援員が子どもに接するときに気にかけて欲しいこととして、「プレーワーク(一緒に遊ぶ)」「ケアワーク(寄り添う)」「ソーシャルワーク(援助する)」の3つの「ワーク」でまとめることができます。

子どもと一緒に遊び、共感を育む言葉で信頼を得る

1つ目の「プレーワーク」とは、主に子どもの遊び相手になることです。ただ一緒に遊ぶだけでなく、遊びを企画したり、遊びのリーダー役を担ったり、遊びの輪に入れるように働きかけたりもします。

私は、支援員になったばかりの人には、「まず、子どもたちと遊んでください」と言います。子どもたちが遊んでいるのをただ見ているだけでは、本当に子どもを理解することができませんし、子どもたちも心を開いてくれません。反対に、子どもと全力で遊ぶ大人は子どもに仲間と認められ、信頼されるようになります。

「けん玉」「ベーゴマ」など、支援員が子どもに1対1の遊びを伝える場合は、周りの子どもたちへの目配りも欠かせません。「ドッジボール」「鬼ごっこ」など集団遊びのときは、どこでどんなルールで行うのか環境を整え、危機管理にも配慮します。子ども同士のつながりをつくったり、遊びに入りたそうにしている子どもには声をかけたりして誘います。

その上で、子どもが意欲と主体性を発揮して行った遊びには、「やったね!」「できたね!」「がんばったね!」「すごいね!」と共感の言葉をかけるといいですね。自分に共感してくれる大人は、子どもにとってとても大事な存在なんですよ。

撮影:品田裕美 撮影協力:東京学芸大学

支援員にだからこそ、打ち明けるSOSもある

2つ目の「ケアワーク」とは、子どもの声に耳を傾けることです。体調や衛生面に気を配ったり、けんかの仲裁をしたり、子どもの寂しさやつらさに寄り添います。

子どもの日々の様子を観察するのはとても大事なことで、具合が悪そうな場合は声をかけて対処し、子ども同士にもめごとがあれば調整します。さまざまな家庭事情の中で生きづらさを抱えている子どももいるでしょう。学校の先生とも保護者とも違う立場で、放課後の時間を共に過ごす支援員だからこそ子どもたちが打ち明けられるSOSがあるかもしれません。子どものSOSを察知したら受け止め、寄り添ってあげられる存在であってほしいと思います。

3つ目の「ソーシャルワーク」は、子どもを取り巻く社会と連携し援助することです。放課後児童クラブでの様子を保護者に伝えたり、毎日嫌がらずに通える環境を整えたりすることは日々みなさんがやっていらっしゃると思います。

その上で、保護者が子育ての悩みや困っていることがあれば相談に応じたり、保護者同士をつないだりすることもあります。また、子どもを取り巻く環境(親子関係や友達関係など)を見ながら、もし問題を抱えている子がいるなら、解決するために、保護者と協働して関係機関と連携しながら支援できるところにつないでいくことも、ソーシャルワークのひとつです。


文字にすると難しそうに感じますが、支援員の役割は、要は遊びを通して、「子どもがありのままの姿で、居心地よくいられる」環境を整えることに尽きます。子どもは、友達と遊びながら「僕もできるかな?」「私には無理かも?」といった葛藤を乗り越えて、「やりたい」「挑戦してみよう」という気持ちになったときに成長していきます。それを間近で見られるのが支援員の仕事の醍醐味です。


(文・構成 生島典子)

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下浦 忠治

回答者プロフィール下浦 忠治 (しもうら・ちゅうじ)

1950年、奈良県生まれ。74年から東京都品川区で35年間、指導員として学童保育に携わる。2009年に退職。日本社会事業大学専門職大学院で「学童保育とソーシャルワーク」を開講。15年まで社会福祉士として東京都の児童相談所に勤務。現在は、東京成徳大学子ども学部で非常勤講師を務める。1都7県で放課後児童支援員認定資格研修の講師も担当。著書に『どの子も笑顔で居られるために 学童保育と家族支援』(高文研)、『放課後の居場所を考える』(岩波ブックレット)など。