放課後支援員のお悩み相談室 子ども同士の信頼関係は、どうやったら築けるのでしょうか?

回答者:下浦 忠治

2020.01.10

放課後児童クラブを子どもが安心して生活できる場にするために、一緒に過ごす子ども同士が信頼し合える関係が大事だと思っています。子ども同士の信頼関係を築くには、支援員はどのように関わっていけばいいでしょうか?

さまざまな共同作業をすることで、相手への理解が深まり信頼関係が育まれます


istock/Milatas

子ども同士の信頼関係は、遊びを共有することから

子ども社会のなかで、子ども同士の信頼関係は遊びを共有して「楽しかったね」と共感し合うことがスタートになります。子どもたちは遊んだ後に、よく「明日もやろうね!」と言います。これは遊びが楽しかっただけではなく、その遊びに関わる人間関係がうまくいったから。そして「うん、明日もやろうね」と共感する仲間がいるからこそ、明日を楽しみに放課後児童クラブに通うのです。

一緒に遊ぶことによって、お互いを認め合う仲間意識が生まれます。そこで生まれる仲間意識が、まさに信頼関係なのです。そういう子どもの「仲間意識=信頼関係」を育むために、指援員は仲間を集めてやりたくなるような「集団遊び」を示してあげるといいでしょう。低学年の子どもたちは集団遊びの経験があまりないので、最初はやり方やルールを教えてあげる必要があるからです。

行事への取り組みや係活動でも、信頼関係が育まれる

遊びだけではなく、さまざまな行事に取り組むように促すことも、大切な関わり方です。行事で披露する歌やダンス、けん玉などを練習する、スポーツ交流会のためにドッジボールやキックベースの練習をする、運営の準備をするといった共同作業のなかで、子どもが自分と他者を比較しつつ、「○○くんは、こういうところがあるんだな」「○○ちゃんって、そういう子なんだ」と仲間の新しい内面に気付いていきます。友達と関わりを持ってお互いを知ることで相手を認め、信頼関係や自己有用感が育まれていきます。

撮影:村上宗一郎 撮影協力:東京学芸大学

また、放課後児童クラブのような生活の場では必ずある、一緒におやつの皿を並べる、掃除をする、低学年のお世話をするといった係活動なども大切です。「イヤだ、やりたくない」と言っていては生活が成り立たないので、係活動に一緒に取り組んだり、係の役割を分担してそれぞれが果たしていったりするなかで、信頼関係が紡がれていくのです。

それらは同学年だけではなく、異学年との関係も同じです。たとえば1年生から見ると、いろいろなことができる2年生、3年生のお兄ちゃん、お姉ちゃんたちは憧れの対象で、上級生は頼れる存在だと感じることが信頼関係になります。上の子からすると、下の子と一緒に集団生活を営むことで、おのずと力がついていきます。上の子は下の子に頼られることで力を発揮するからです。以前は、近所の子どもたちが年齢に関係なく遊ぶこともありましたが、昨今は放課後に異年齢集団で遊べるのは、ほとんど放課後児童クラブしかなくなっている状態です。

このように信頼関係は、遊びや行事への取り組み、係活動、異年齢との関わりといった、子ども同士のアクションが一緒に行われるなかで育まれるものです。放課後児童クラブは、子ども同士の信頼関係を育む大切な場所であることを再認識し、子どもがさまざまな共同作業ができるよう配慮していきたいですね。


(文・構成 生島典子)

※次回は2月10日に更新予定です


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下浦 忠治

回答者プロフィール下浦 忠治 (しもうら・ちゅうじ)

1950年、奈良県生まれ。74年から東京都品川区で35年間、指導員として学童保育に携わる。2009年に退職。日本社会事業大学専門職大学院で「学童保育とソーシャルワーク」を開講。15年まで社会福祉士として東京都の児童相談所に勤務。現在は、東京成徳大学子ども学部で非常勤講師を務める。1都7県で放課後児童支援員認定資格研修の講師も担当。著書に『どの子も笑顔で居られるために 学童保育と家族支援』(高文研)、『放課後の居場所を考える』(岩波ブックレット)など。