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たのしーと制作者インタビュー「遊びながら学ぼう!」 第11回 体あそび「みんなでパラスポ」考案 東京学芸大学 田嶌大樹さん

2021.07.07

「体あそび」の監修をしている、東京学芸大学 児童・生徒支援連携コンソーシアム特命助教の田嶌大樹さんに、パラスポーツを学童向けにアレンジした「みんなでパラスポ」を考案してもらいました。21年度の新シリーズ「みんなでパラスポ」と「にんじゃしゅぎょう」の狙いと楽しみ方を伺います。

写真提供:田嶌さん

「みんなでパラスポ」は、どんな体あそびでしょうか?

東京2020パラリンピックで実施される22競技の中から、特殊な道具がなくてもできる8競技10種目をピックアップして、学童でもできるようにアレンジしました。実際に体験するとわかると思いますが、これまでの「体あそび」と大きな違いはありません。遊びにはもともと「あえて制限をルールにする」という側面があり、その延長として考えたものだからです。

例えば、パラスポーツの「シッティングバレーボール」は、二足歩行をしないでボールを地面に落とさずにラリーできるか、「ゴールボール」は、視覚に頼らずに投げたボールの行き先を探りながらゴールできるかを競います。このように身体機能の一部を制限することで、難しさやおもしろさを生み出しているのです。

ただパラスポーツの「制限」には、違う側面があることも理解する必要があります。「二足歩行をしない」「視覚に頼らない」ことが、競技中だけのルールではなく、普段でもそのように過ごさざるを得ない人がいるという点です。「みんなでパラスポ」は、障がいを持つ人たちの身体感覚をみんなで体験し、障がいへの理解を深めることにつながる遊びなのです。

「ゴールボール」

「みんなでパラスポ」を実施するとき、大人に心がけてほしい点は?

サイトの「みんなでパラスポ」各ページには、元になっているパラスポーツのルール解説や動画のあるサイトのリンク先が記載してあります。ぜひ子どもと一緒に動画を見て、スピード感や迫力を感じたり、競技のおもしろさについて話し合ったりしてください。

パラスポーツを通して、障がいのある人への理解を深めてほしいという狙いが根底にありますが、同時にリスペクトする気持ちも感じてほしいのです。障がいのある人は、日常生活ではマイノリティーな存在になりがちですが、競技ではパラアスリートにしかできないスーパープレーを見せてくれます。

「ブラインドマラソン」をアレンジした、目隠ししながらガイド役と一緒に歩く「ブラインドウォーク」を私もやってみましたが、普段どれだけ視覚に依存して生活しているかを思い知らされました。だんだん慣れてくると、視覚以外の感覚が研ぎ澄まされていくのもわかります。遊びで「いつもと違う感覚で思うように動けない」という経験をしたからこそ、実際のパラスポーツの「ブラインドマラソン」で、町の中を走り抜けることのすごさがわかるはず。自分とは違う身体的な特徴がある人のすごさに気づくと、リスペクトを感じられるようになるでしょう。

「ブラインドウォーク」

子どもたちがパラスポーツを体験することに、どんな意義があるでしょうか?

パラスポーツは、障がいの有無に関わらず、誰もが楽しめるようにルールや行い方に工夫が凝らされています。この「誰もが楽しめるようにルールや行い方を工夫する」ということは、多様な個性を持つ他者とコミュニケーションをする上で重要な観点です。

遊びという日常生活とは違う独自のルールの中では、「ハンディキャップ」とされるような個性や特徴が、「強み」となることがあります。パラスポーツの経験を通して、さまざまな個性を持つ者同士が「ルールや社会を変えることで、一緒にやっていくことができる」という、他者理解への発想が育まれていきます。

学童の中にもいろいろな個性を持った友達がいるでしょう。「誰もが楽しめるようにルールや行い方を工夫する」経験を積み重ねていくことで、「みんなが楽しめる学童とは?」「誰もが過ごしやすい社会って?」という共生社会について考える第一歩となってもらえるとうれしいです。

「みんなでパラスポ」はコチラ

「にんじゃしゅぎょう」シリーズも始まりました。楽しく遊ぶためのコツを教えてください。

子どもは「おままごと」や「ヒーローごっこ」のような、ごっこ遊びが大好きです。「にんじゃしゅぎょう」シリーズは、ごっこ遊びを通じて子どもたちにさまざまな体あそびをしてもらおうというものです。

ごっこ遊びをするときに、その世界観を崩すような振る舞いはご法度。大人も子どもと一緒になって忍者の世界観をつくり出してください。忍者のようなかぶり物を身につけたり、手裏剣などのアイテムを作ったりするのもいいでしょう。言葉遣いも大事です。「気はいぎりの術」のとき、「おぬし、わしの気配を感じられるかな!」などと声をかけると、楽しさは倍増。子どものノリも変わってきます。

「にんじゃしゅぎょう」に挑む皆さん、修行を着実にこなして忍者の免許皆伝を目指しましょう!

「気はいぎりの術」(8月配信予定)
目隠しをし、気配だけで相手の位置を感じて、斬る!

「にんじゃしゅぎょう」はコチラ

(文・構成 米原晶子)


プロフィール 田嶌 大樹(たじま ひろき)

東京学芸大学 児童・生徒支援連携コンソーシアム特命助教
専門は「あそび」を核にしたスポーツ・教育実践研究。現在は、放課後児童クラブにおける遊びの研究、企業や地域の大人と大学生・子どもを巻き込んだ学校外教育フィールドの開発、運動遊びを通じて子どもの能力を高めるプログラムの開発などに取り組む。学校教員研修や放課後児童クラブ支援員向け講座などの講師も務め、その活動は多岐にわたる。
著書『子どもの貧困とチームアプローチ “見えない” “見えにくい”を乗り越えるために』(共著・松田恵示監修/書肆クラルテ)では、大学生が社会課題の解決を目指して教育実践をしながら学ぶ「サービスラーニング」について論じている。

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