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支援員のお悩み相談室 第24回 支援員は保護者とどう関わっていけばいいのでしょう。父母会もどこまで付き合えばいいか迷います。

回答者: 高橋 誠

2021.07.13

保護者との関わり方がよくわからず、戸惑うことが多いです。子どものことを相談されても適切に答えられるかどうか自信がありませんし、保護者会などで苦情を言われないか不安です。どのようなスタンスで接すればいいのでしょうか?

保護者と支援員・指導員は、「子どものためのよりよい生活の場」をつくっていくために、一緒に考えて取り組んでいく関係にあることを理解しましょう。

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保護者に子どもの様子を伝えるのが基本

学童保育では、子どもも保護者も支援員・指導員もみんな「主体者」です。保護者と支援員・指導員は立場の違いはあれ、それぞれが主体者として「よりよい生活の場を子どもたちに保障するためにはどうしたらいいか」を一緒に考え、取り組んでいくことが不可欠です。

学童保育は子どもたちに安全で安心して過ごせる継続的な「生活の場」を保障することで、保護者の就労等を保障するという役割を担っています。「保護者に安心して働いてもらうために、支援員・指導員はどうすればいいのか?」と考えると、日ごろ子どもたちの生活の様子をあまり見ることができない保護者に子どもたちの様子を伝えることが第一にあげられます。保護者に子どもたちの様子を伝える方法は、連絡帳に書く、面談や保護者会(施設側が主催し、保護者に集まってもらう会)・父母会(保護者の組織)で話をする、おたより(プリント)を発行する、などがあります。

また、父母会などの行事は、運営形態などによって違いはあるでしょうが、基本的には一緒に取り組んでいくものと考えてください。父母会の行事は子どもや保護者の交流を図ることを目的としています。そこに支援員・指導員も一緒に参加することは大事な仕事の一つです。

私が勤務する学童保育では、父母会が主催するキャンプがあります。実行委員会に出席し、準備段階から運営に携わります。父母会から依頼があれば、職務としてキャンプに参加できるので、子どもや保護者とともに川遊びやキャンプファイア、ご飯作りなどに取り組みます。そこでの子どもたちの様子を普段の学童保育での姿と比べたり、重ねたりして、保護者と話が弾むこともあります。

父母会の取り組みに参加したり、保護者との交流を図ったりすることは、支援員・指導員にとってもプラスになります。私自身、ずいぶん保護者に支えられ、いろいろなことを学ばせてもらいました。なにより大変なときに「何かあったら手伝うからね」という保護者の励ましの言葉に救われたものです。

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保護者の思いを受け止め、一緒に考えるという姿勢

学童保育は、それぞれの保護者の思いがあって成り立っています。私が指導員になって最初に書いた連絡帳は、小学校1年の男の子のものでした。「部屋で3年生に面倒をみてもらって遊んでいました」と簡単な報告をしたら、翌日保護者から3ページにわたって苦情が書かれていました。「『面倒をみてもらっていた』とは、何事か。うちの子は犬、猫ではない」という内容です。その日、私は「そんなつもりで書いたのではない」と5ページ分の返事を書きました。あとで、その子が成長ホルモンの影響で体が小さいことを保護者が気にしていたということを知り、いろいろな思いで子育てをしている保護者がいることを理解しました。

また、ある保護者から、アトピーの子どものために「おやつを無添加のものにしてほしい」と要望されたこともあります。私たちは父母会から委託を受けておやつの手配をしています。まずは保護者会で話し合ってもらい、どこのお店にどんなものが売っているのか保護者から情報を得て、無添加のパンをおやつに出しました。

でも、これがあまりおいしくなくて、子どものウケがよくなかった(笑)。それ以降、無添加のパンをおやつに出すことはありませんでしたが、そのお母さんは「これまでもいろいろなところで訴えてきたけど、どこも取り上げてくれなかった」と話し、できる範囲で対応してくれた、とこちらのスタンスは理解してもらえたようです。

ときには耳の痛いことを言われることもあるし、経験の浅い支援員・指導員は、「相談を受けても的確に答えられない」と思うかもしれません。しかし実際は、保護者からの相談に「こうすれば大丈夫」という回答を用意できることはあまりありません。まずは「話を聞き、思いを受け止める」「一緒に考えていく」。そういう関わり方を基本にして保護者とつながり続けることが大切です。その中では「そういうことがあったのですね」「それは大変でしたね」と、保護者の思いやつらさに共感し、受け止めていくことが求められます。

保護者からの意見・要望・苦情の中には、行政や運営主体とともに組織的に対応する必要があるものもありますが、現場における課題については、まず保護者と支援員・指導員とが一緒に解決に向けて知恵を出し合うことが必要です。そのためにも、日頃から「話があったら聞かせてほしい」という姿勢で保護者と接し、保護者に「何かあったら支援員・指導員に相談してみていいんだ」と思ってもらえる関係性が大切です。


(文・構成 生島典子)

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 高橋 誠

回答者プロフィール 高橋 誠 (たかはし・まこと)

1968年、東京都生まれ。91年に東京23区に入区し、現在、区内児童館長(放課後児童クラブ担当兼務)。指導員歴は30年。東京都放課後児童支援員認定資格研修および資質向上研修の講師を務める。白梅学園大学非常勤講師および全国学童保育連絡協議会事務局長。