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支援員のお悩み相談室 第35回 ベテラン指導員と比べ、自分の周りには子どもが集まってきません。人気のある指導員との違いを知りたいです。

回答者:飛鳥井 祐貴

2022.06.22

私は学童保育に勤務して1年半で、ユーモアセンスもない堅物です。ベテラン指導員は人気があって、子どもたちがニックネームで呼びながら周りに集まります。主任から、「〇〇先生にはないものを持っていますから、大丈夫ですよ」と言われますが、人気のある指導員と自分を比べると寂しくなります。私はないものねだりをしているのでしょうか?(栃木県・指導員歴1~3年)

多様な個性の子どもたちを受け止めるためには、さまざまなタイプの指導員がいたほうがいい。あなたにしかできない子どもとの関わり方を大切にしていきましょう。

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さまざまな大人との関わりが、子どもたちを育てる

相談者は、人気のあるベテラン指導員と自分を比較して、子どもたちがあまり寄ってきてくれない自分の状況が寂しくなってしまうのでしょうね。結論から申し上げると、主任の指導員から言われた通り、先生なりの関わり方を大事にして良いのです。

相談者のようにフレッシュな指導員にしか見ることができない子どもの姿がありますし、一方、ベテラン指導員や主任指導員にしか見えない子どもの姿もあります。そこに優劣はありません。それぞれの指導員にしか見えない姿を寄せ集め、多角的な視点で話しあい、検討してはじめて、子どものことを深く理解できるのです。指導員に求められる大きな役割は「児童理解」です。その一役を、どの指導員のみなさんも担っています。

子どもを理解するためには、子ども一人ひとりとの信頼関係の構築が必要です。そのためには、子どもの「聞いて、聞いて!」に丁寧に向きあい、小さな変化に気づくこと。また、心の動きを見て、何かに失敗して落ち込んでいるときに寄り添い、うまくいったときはうれしい気持ちを共有することなど、いろいろな配慮の積み重ねが求められます。ユーモアセンスの有無だけが、信頼関係の構築を左右するわけではありません。

まずは、目の前の子どもとの関わりを見つめ直してみてください。指導員の周りに子どもが集まるかどうかという目に見える結果にこだわり、遠巻きに様子を見ていては信頼関係をつくる機会を逃してしまいます。子どもとの関係づくりは、一緒に遊ぶことから始まります。子どもが寄ってくるのを待つのではなく、多くの子と関われるよう、自分から子どもの輪の中に飛び込んでいきましょう。

そして「〇〇先生にはないものを持っています」と言ってくれる主任指導員の言葉を信じて、 「自分なりの関わり方」がどんなものなのかを試行錯誤してみてください。そこに気づくことができれば、きっと子どもとの関係も変化してくるはずです。

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子どもが心を開くのは、視野が広く、多様な価値観を持っている人

同時に「子どもが心を開くには、どうしたらよいか」を考えてみましょう。「子どもが心を開いてくれた」と感じる瞬間を見逃さず、同僚と語りあい、記録し、確かめていくのです。「子どもが心を開いている」と感じるベテラン指導員が、子どもと関わるのなかで何を大切にしているのかを聞き、参考にするのもいいですね。

ただ、長く経験を積めば自然と子どもが心を開くようになるかというと、違います。「子どもとの関わりを大切にして、子どもの喜怒哀楽に寄り添っている」「子どもに共感し、時にぶつかり、そこから関係を回復させてきた経験」「子どもの心の“多様性”をわかろうと努め、理解し、大切にしてきた」といった実践の積み重ねが、子どもが心を開く指導員の根底にあるように思います。

「この人なら、話を聞いてくれる」「遊んでくれる」「一緒に考えてくれる」。そうした思いが積み重なると、子どもはその人のところへ行きたくなるものです。逆に、子どもが「ちゃんとやらないと注意されそう」と感じたり、画一的で、管理主義的だと感じたりする人には心を開くことができません。児童期の子どもは、誰かを頼りにしながら、心をひらき、体験(失敗や成功)し、そこから学び、大きくなっていくように思います。そういう意味で「安心して失敗できる」環境や人が求められているのです。

指導員が視野を広げてさまざまな価値観を持ち、子どもたちを柔軟に受け入れていくことがカギになります。子どもが話しやすい雰囲気をつくるには、子どもならではの見方やあり方、子どもの育ちに関する知識を勉強することも大切です。それをベテラン指導員や主任の指導員たちと確かめ合いましょう。子どもと同僚から刺激を受け、学び続ける姿勢を大切にしてください。

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(文・構成 生島典子)

飛鳥井 祐貴

回答者プロフィール飛鳥井 祐貴 (あすかい・ゆうき)

東京都生まれ。東海大学工学部航空宇宙学科卒。玉川大学教育学部卒。
幼児から成年までの水泳・サッカー・幼児教育・野外活動の指導、学習障害(LD)児の学習支援プログラム等に6年間従事。2001年から神奈川県横須賀市の学童クラブに勤務し、現在は施設長を務める。放課後児童支援員認定資格研修、全国学童保育連絡協議会主催の指導員学校ほか、県内外の市町村行政研修や研究集会等で講師を務める。神奈川県学童保育指導員連絡会会長。