放課後キッズサポーターの取り組み 旭化成ホームプロダクツ「Ziploc RECYCLE PROGRAM」実施レポート

2021.12.24

学童から始まるSDGsアクション! ジップロック®を回収して循環型社会について考えてみよう


毎日のおやつ入れ袋が、傘に生まれ変わる!

子どもたちにとって生活の場である学童(放課後児童クラブ)は、楽しく遊んで過ごすだけでなく、広い意味で学びの場でもあります。生活のなかで育まれるリサイクル意識も、その一つ。放課後たのしーとが協力する、旭化成ホームプロダクツの『Ziploc RECYCLE PROGRAM』に参加する学童を訪ね、その様子を聞きました。

コロナ禍でおやつを1人分ずつジップロック®に小分け

埼玉県深谷市にある上柴東学童保育室は、小学校の敷地内にある建物に1年生から4年生までの児童76人が通う学童施設。玄関の出入り口のすぐ横に、大きな青いジップロック®の回収ボックスが置かれていました。中をのぞくと、バッグタイプや容器タイプの透明な使用済みのジップロック®がたまっています。この学童が参加する『Ziploc RECYCLE PROGRAM』は、使用済みジップロック®を回収し、別のプラスチック製品に作り替えることで子どもたちに循環型社会を考えるきっかけを提供しています。

15時を過ぎた頃、隣にある校舎から学童に、雨のなか傘を差した子どもたちが三々五々やって来ました。「おかえりなさーい」と支援員さんたちが、笑顔で出迎えます。子どもたちは、ロッカーにランドセルをしまったあと手洗いをし、友達同士ふざけあいながら、中央のテーブルに集まってきました。テーブルには、おやつが入ったジップロック®フリーザーバッグが70袋以上、ぎっしりとカゴの中に並んでいます。

「はい、どうぞ」と袋に書かれた名前を確認しながら、支援員さんが順番に渡していきます。中には、個包装のお菓子が3種類ずつ。おやつを手にすると、子どもたちはうれしそうに席に着きました。みんながそろったところで、室長の合図で「いただきまーす!」。楽しいおやつタイムが始まりました。

厚手で丈夫なジップロック®をさらに再活用する道へ

この学童で、おやつ提供時にジップロック®を使うようになったのは昨年から。室長の三浦さやかさんによると、それまでホットケーキやおでんといった手作りおやつを週2回出していたのが、新型コロナウイルスの感染予防のため、提供できなくなったそうです。おやつは市販の個包装のお菓子のみになり、1人分ずつ袋に分けて提供することに。袋を毎日交換するのはもったいないと、ジッパー付きの保存用袋を選びました。できるだけ丈夫な袋がいいといろいろ試し、厚手な素材のジップロック®に定着したということです。

とはいえ、毎日使っているとくたびれてくるため、4カ月に1度、すべてのジップロック®を新しく入れ替えます。それまではプラスチックごみとして捨てていましたが、『Ziploc RECYCLE PROGRAM』の話を聞き、「これなら無駄にならずにすむし、子どもたちにとってもおもしろい取り組みになる」と考え、参加を決めたそうです。

※個袋に入っていない食品を直接入れた際の使い回しはお勧めしておりません。(旭化成ホームプロダクツ)

子どもたちのリサイクルへの理解がより深まる

子どもたちに、使用済みジップロック®を家から持ってきたことはあるかと聞くと、13人の子の手が挙がりました。学校の社会科見学で清掃工場に行ったという4年生の男の子は、これまでに袋5枚と容器2個を回収ボックスに入れたと言います。「使えるものに生まれ変わったほうがみんなもうれしいし、ゴミを減らすことにも意味があるでしょ」と話します。回収ボックスにはまだ入れたことがないと話す2年生の女の子も、「リサイクル」は知っていて、「家でも紙を分けて捨てているし、学童でもお菓子の包み紙はここに入れるよ」と、プラスチックごみ入れを示してくれました。

学童では、日頃からゴミを減らし、ものを再利用する習慣ができています。例えば、子どもたちが使える折り紙は1日3枚まで。端切れなどは、専用のカゴに集めておき、ちょっとした工作や飾りなどに使いたいときは、そこから選びます。同じように、絵やメモをかく白い紙の端切れも集めているし、空き箱などは大事な工作の材料として使っています。そうしたなかでのこの取り組みについて、室長の三浦さんは「ごみを減らすリデュースや、使えるものを再利用するリユースとは違って、まったく別の製品に生まれ変わるリサイクルは実感しづらいもの。毎日使っているジップロック®のおやつ袋が具体的に傘という製品になることが子どもたちには新鮮な驚きだったようで、リサイクルへの理解がより深まったと思います」と話します。

1つ入れると1枚シールを貼って目標に

『Ziploc RECYCLE PROGRAM』では、集めたバッグタイプのジップロック®は16枚で1本のビニール傘に生まれ変わり、傘シェアリングサービスで活用されます(※)。子どもたちはジップロック®を回収ボックスに1つ入れると、たのしーとのキャラクター「パンチョ☆スターズ」のシールを1枚ずつ台紙に貼っていきます。あと何枚集まれば傘になるのか、目標がすぐにわかる仕掛けです。ジップロック®を入れる前には「先生、持ってきたよ-!」と自慢げに見せてくれるそうです。これまでにみんなが貼ったシールを数えながら、「もうすぐ8本目になるところ!」と、1年生の女の子がうれしそうに教えてくれました。 ※リサイクル傘の作成には、一定量の回収が必要になります。

学童でのこのプログラムは約3カ月間で、11月末でひとまず終了です。11月上旬の時点で、ジップロック®の袋(バッグタイプ)120枚以上、容器(コンテナタイプ)が2個入っていました。学童では、ボックス回収前におやつ袋を全員分入れ替える予定で、さらに70枚以上が増えそうです。

「全部で何本の傘になるんだろうね~?」「リサイクルされた傘ってどんなものか、見てみたいな」。ちょうど雨模様の空を見上げながら、子どもたちは、捨てるはずのゴミから新しく生まれ変わる傘へと思いを巡らせていました。

構成・文:福留香織 写真:村上宗一郎 取材協力:深谷市立上柴東学童保育室