たのしーと制作者インタビュー「遊びながら学ぼう!」 第2回 東京学芸大学附属世田谷小学校 教諭 木村翔太さん

2020.04.30

「〇〇のはてな?」というタイトルで素朴な疑問を探求する、学芸大スペシャル「キナガザルのポレポレ」の生みの親、東京学芸大学附属世田谷小学校の木村翔太先生。「遊び」を専門に研究してきた木村先生に、身近な「問い」について聞きました。


写真提供:木村翔太さん

疑問を持つ人は面倒くさい?

 従来のやり方に疑問「?」を持つ人って面倒くさいですよね。同規格のものを正確に効率よくつくって経済成長していた時代は、安定や継承が優先されたので、「?」がないほうが世の中スムーズでした。
 社会が変化し、将来が不透明になった現代もそれでいいのでしょうか?
 もちろん、正確さや効率は大切にされるべきです。だけど、ニーチェやガリレオのような革新をもたらした人は「?」をいっぱい持つ面倒くさい人だったと思います。世の中に風穴を開けて新しいものをつくるためには、決められたことを変え、まだ決まっていないことを創(つく)ることが大事なのではないでしょうか。

子どもの「問い」を大切に

 「?」は新しい世界への「ひっかかり」です。たとえば息を吐くとき「フー」ってやると冷たいのに、「ハー」ってやるとあったかいのはなぜでしょう? 答えを出すことは難しいですが、予想を立てたりいろいろと試したりしてみたくなりませんか。それこそが学びへ向かう力なのだと思います。
 「?」を持って生きるのは面白いことなんです。大事なのは、小さい頃からいっぱい「?」を持つこと。そのためには大人が効率的な日常からはずれ、笑っちゃうような「?」を率先して口にすることです。
 「冬にラーメンを食べるとなんで鼻水が出るの?」「お父さんの髪の毛って、1日に何本抜ける?」
子どもはびっくりするくらい面白い「?」でこたえてくれます。
 「?」を言葉にしたものが「Q」、つまり問いです。このQというアルファベットをよく見ると、丸くおさまった世の中から一歩外に飛び出しているように見えませんか?

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(2020年3月19日朝日新聞朝刊「おうちでたのしーと」より)