支援員のお悩み相談室 第28回 いつもお迎えが規定の時間を過ぎてしまう家庭があります。保護者の仕事の事情もあると思いますが、毎日続くと困ってしまいます。

回答者: 高橋 誠

2021.11.10

学童保育の延長時間を利用しているご家庭で、保護者のお迎えが規定の時間を過ぎてしまうことがあります。両親ともに忙しかったり、交通事情があったりするので仕方ない場合もあると思いますが、毎日続くと対応する指導員は困ってしまいます。どうすればいいのでしょうか?

まずは家庭の状況を聞くこと。そして、活用できる社会的なサービスがないか調べてつなげていくことも検討しましょう。

 

家庭の状況を聞くところから始める

学童保育に子どもを通わせているご家庭の事情はさまざまです。そもそも学童保育の閉所時間や、延長保育のシステムがあるかどうか、お迎えが必要かどうかも自治体や施設によって異なります。
私が勤務する自治体では、18時30分が閉所時間です。それ以上の延長はありません。なお、お迎えは必須ではありません。私自身の経験では、頻繁に閉所時間を超えてしまう保護者はいませんが、他の学童保育でそうした保護者がいたという話は聞いたことがあります。指導員・支援員は、子どもが帰ったあとに行う作業があり、勤務時間も決められているので、閉所時間を超えてのお迎えは運営上困ります。

このような問題は、どの学童保育でも起こることでしょう。まず、保護者が働いている職場や、家庭の状況、保護者の体調などを聞くことから始めましょう。「きちんと時間内にお迎えに来てくれないと困ります」と、伝えるだけで改善される問題ではないかもしれないからです。

保護者が置かれている状況を把握したうえで、どうしてもお迎えが閉所時間に間に合わない状況なら、その人が活用できる社会的なサービスがあるかどうかを調べ、担当部署や申し込み窓口につなぐ作業が必要です。たとえばファミリー・サポートセンターに登録してお迎えの人を頼むことや、学童保育のあとの二次保育が可能な施設の情報を伝えるといったことです。どのようなサービスを利用できるかは、自治体やエリアによって違います。

社会的なサービスの活用については、子どものお迎えに限りません。以前、「保育料が払えないから学童保育をやめる」とある保護者から言われたことがあります。ひとり親家庭で保護者がリストラにあってしまったのです。この時には所管課と相談をし、保育料を銀行引き落としではなく、お金があるときに払ってもらう納付書払いに切り替えて対処しました。私はその子どもにとって学童保育が必要だと感じていたので、何とかして続けてほしかったのです。生活保護世帯など金銭面に余裕のない生活を送っている家庭もあります。 条件を満たせば保育料の負担軽減や減免措置がある自治体もあります。このように「市役所の〇〇課で担当している行政サービスが、こんなときに使える」といった情報を、現場の指導員・支援員は事前に調べて知っておくといいですね。

 

子どもが不安にならないためにも、お迎え時間などの情報共有を

いつも時間内にお迎えに来ている保護者でも、予定時間より遅れる場合もあります。ですから、普段から「遅れるときには学童に必ず連絡してくださいね」と伝えておきます。これは職員のためだけではなく、お迎えを待っている子どもにとっても必要な情報です。子どもは言われた時間までは待てますが、それを超えると急に不安になることがあるからです。

保護者は、「18時20分には迎えに行ける」という予定のときでも、「18時30分までに迎えに行くよ」と、少し遅めに子どもに伝えておくといいでしょう。「早めに迎えに来てくれた!」とうれしがられても、恨まれることはないからです。保護者には、子どもに帰宅時間やお迎え時間を告げる際は、「『子どもが不安にならないようにするには、どうしたらいいのか』という視点も大事にしたいですね」と伝え、時間に余裕を持ってもらえるようにしています。

いろいろ手を尽くしても頻繁にお迎えの時間に遅れるのであれば、保護者と指導員・支援員の間での解決は難しくなることがあります。そもそも学童保育の運営主体と保護者の契約関係で育成されているため、契約内容の確認を双方で改めて行う必要があります。保護者が置かれている状況についてよく話を聞き、どうすれば問題解決できるのか、運営の代表者を交えて話し合いましょう。


(文・構成 生島典子)

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 高橋 誠

回答者プロフィール 高橋 誠 (たかはし・まこと)

1968年、東京都生まれ。91年に東京23区に入区し、現在、区内児童館長(放課後児童クラブ担当兼務)。指導員歴は30年。東京都放課後児童支援員認定資格研修および資質向上研修の講師を務める。白梅学園大学非常勤講師および全国学童保育連絡協議会事務局長。