支援員のお悩み相談室 第31回 3クラスに分けて学童保育を行っていますが、1年生だけのクラスの統率が取れず運営がうまくいきません。年度途中でクラス編成を替えてもいいでしょうか。

回答者:飛鳥井 祐貴

2022.02.20

今年度は在籍児童約70人のうち、2~4年の縦割り2クラス、1年生だけの1クラス、計3クラスで運営しています。1年生だけのクラスは上級生がいないためか、社会性が身につかず好き勝手な行動が多いうえ、暴力的な児童もいて困っています。限られた人員で子どもたちを安全に見守ることが難しいため、年度途中でも全クラスを縦割りに編成し直すべきか悩んでいます。(茨城県・支援員歴1~3年目)

年度途中での急激なクラス編成の変更は、子どもたちをいっそう、不安定にします。一人ひとりの子どもを捉え直し、声が届く関係を築きましょう。

 

まずは、一人ひとりと丁寧に関わる職員集団の構築を

クラス編成を変更するなら新年度にし、まずは「誰のためのクラス編成か」「困っているのは誰か」を考え、課題や目的を整理しましょう。年度途中でのクラス編成の変更は、子どもたちがつくりつつある関係性や安心の芽を摘むことになりかねません。子どもたちは日々の生活や遊びの中でお互いを知り、その中で自分の居場所を見つけます。突然今までの居場所を失うと、落ち着いて遊べなくなる子どもが出てきたり、お休みする子どもが増えたりと、対応がさらに複雑化することも予想されます。支援員の数が限られるなら、なおさら避けたいところです。

また職員も子どもたちも新たな関係をつくるのは大きなエネルギーが必要です。コロナ禍で学校生活様式の変化もあり、子どもたちへの精神的な負担が大きい現状にも配慮がいるでしょう。

「安全に見守れる環境を整えたい」のであれば、支援員・補助員を含めた大人と安心できる人間関係の構築から始めることが大切です。その際、「子どもたち一人ひとりの気持ち」に目を向けることを忘れてはいけません。例えば、子どもの様子を記録して、客観的に子どもを捉え直します。子どもの言動や、職員がどう声をかけ何を感じたかなどを丁寧につづって支援員同士で共有することで「子どもの気持ち」が見えてくることもあります。そうした積み重ねが「声が心地よく響き合う関係」へとつながるのです。

 

子ども一人の安心を積み上げ、集団の安心につなげる

相談内容に「好き勝手な行動が多い」とありますが、1年生の発達段階を考慮すれば自然な姿。6、7歳の児童期初期は、幼児期特有の「自己中心性」を色濃く残しています。おもちゃの取り合いでケンカになったり、相手の気持ちを思いやれずに自分勝手な言動をしたりする姿もあるでしょう。

そうした自分中心の視点に立つ子に、相手の気持ちを知らせることは大切です。ですが、その子の認識や感情を尊重することは、実はもっと大切なのです。支援員がさまざまな経験をする子どもの感情を受け止めて言葉にし、子どもと一緒に気持ちを整理することを積み重ねていけば、「わかってもらえた安心感」を土台に、子ども自身が相手の気持ちを理解する力につながります。「1年生だけだから社会性が身につかない」のではなく、この時期は友達とのトラブルも含め、具体的な経験から社会性を育む基礎がつくられている真っ最中だということを理解しておきましょう。

相談内容を読む限りでは、どこから対応したらよいか混乱されているかもしれないですね。今は、いちばん強くサインを出している子ども、ここでは暴力的な行動をとる子どもに寄り添って、言動の根本にある気持ちを理解するところから始めるといいでしょう。

「なぜそんな行動をとるのかわからない」という不安は集団にも影響します。一人の子に丁寧に対応をしていると、その姿を周りの子どもたちも見ています。そこに自分の姿を置き換え、「自分も話を聞いてもらおう」と相互に作用していきます。体制が不十分な中では大変かもしれませんが、一人の安心を積み上げていくことが、集団の安心となっていくのです。

子どもたちが安心して過ごすためには何が必要か、子どもたちは何を求めているのか、その視点に立つことが大切です。放課後児童クラブにおける支援の基本は「継続的な毎日の生活の場の保障」なのですから。


(文・構成 生島典子)

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飛鳥井 祐貴

回答者プロフィール飛鳥井 祐貴 (あすかい・ゆうき)

東京都生まれ。東海大学工学部航空宇宙学科卒。玉川大学教育学部卒。
幼児から成年までの水泳・サッカー・幼児教育・野外活動の指導、学習障害(LD)児の学習支援プログラム等に6年間従事。2001年から神奈川県横須賀市の学童クラブに勤務し、現在は施設長を務める。放課後児童支援員認定資格研修、全国学童保育連絡協議会主催の指導員学校ほか、県内外の市町村行政研修や研究集会等で講師を務める。神奈川県学童保育指導員連絡会会長。