支援員のお悩み相談室 第30回 ほかの子のものを壊したり、隠したりするいじわるな子がいます。ほかの子が逆らえないような場合、どう注意すればいいのでしょうか。

回答者: 高橋 誠

2022.01.18

自分が気に入らないとほかの子が作った工作を壊したり、ほかの子の持ち物を隠したりする、いじわるな子がいます。体が大きく、言っても聞かないので、周りの子どもたちは逆らえない状態です。どうすればいいでしょうか?

いじわるをしている子どもの気持ちを根気強く聞き出しましょう。困っている子がどうしてほしいかも聞いて、指導員・支援員も一緒に対策を考えます。

 

まずは、いじわるをしている子の話を聞く

基本的には、まずは「どうしたの?」と、いじわるをする子の話を聞くことからはじめます。何があったのかは見ていればだいたいわかりますが、それでも「あなたの話を聞きたい」「あなたのことが気になっている」というスタンスでその子の気持ちをゆっくりと時間をかけてひもといていくことが大切です。

いじわるをしている子どもの多くは、複雑な感情を抱えて行動しているように見受けられます。ものを壊しているように見えても、壊すことが目的ではなく、置いてあるものに興味があってつい触っただけかもしれません。持ち物を隠す行為には一定の意図がありますが、その背景には何かしらの理由があることもあり、その思いは、聞いてみないとわからないのです。

いじわるな行動をするのは1、2回ではなく、何回か続いていて、ほかの子も大いに困っているという状況が多いでしょう。すでに大人から注意を受けたり、叱られたりして萎縮しているので、
「ちょっと話がある」と呼び出すと、「どうせまた怒られる」「いつも自分ばかりが悪いんだ」という気持ちになってしまい、心を開いてもらえません。「あなたの話を聞かせてほしい」とアプローチして、話しやすいように促しながら、話を最後まで聞きましょう。理不尽な言い分も出てくるかもしれませんが、話を遮らず、その子が抱えてきた感情を1回すべて受け止めます。「そこまでしないとつらかったんだね、追い詰められていたんだね」と共感する言葉をかけ、「でも、そうされた相手も悲しいと思うよ」と話します。

ここまで話ができると、子どもの感情も落ち着いているので、こちらが言うことを冷静に受け止めてくれます。しかし話がスムーズにできない場合は、一度切り上げて少し時間を置いてから、また話す機会を設けるようにします。

話し合いは1回では終わらないかもしれません。気持ちを聞けたからといって、すぐにいじわるがなくなるわけではないかもしれません。それでも、繰り返し根気強く話を聞いていきましょう。

 

いじわるをされて困っている子の話も聞く

一方、いじわるをされて困っている子どもの話もきちんと聞きとり、どう対処するのかを一緒に考えます。「いじわるをされて我慢できない」というのであれば、どうしたいのかを聞きます。相手に直接気持ちを言いたいなら、1対1で安心して話せる場所をどうつくるかが課題です。

「自分では言えない」という場合、指導員・支援員が代わって伝える場合もあるでしょうが、くれぐれも先走らないようにしましょう。子ども同士の関係性が悪くなることもあるからです。あくまで子どもの納得と合意を得た伝え方をすることが大事です。つらい気持ちを受け止めてほしいだけで「今回は伝えない」という選択肢もあるでしょう。

困っている子の名前やいじめている子の名前を出さずに、一般論として「みんなが学童でイヤな思いをしないで過ごせるように、こういうふうにしたいよね」と、学童全体に話すこともできます。その話を聞いて、いじわるをしている子が「自分のことだ」と気づくかもしれません。名前を出さない分、ある程度効力は落ちますが、そういうアプローチの仕方もあります。

いじわるをされている子どもの保護者が心配をされているなど、場合によっては、指導員・支援員が知り得た事実や対応について、保護者に伝えることも考えられます。その際には、伝える意図やその内容について、双方の子どもの納得と合意を得るようにしましょう。あわせて、双方の保護者に伝える際には、同じタイミングで同じ内容を伝えることを心掛け、「お家でお話をされる際には、子どもの話をよく聞いてあげてほしい。そしてその時の子どもの様子や話を私たちに伝えてほしい」と一言添えることも必要です。


(文・構成 生島典子)

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 高橋 誠

回答者プロフィール 高橋 誠 (たかはし・まこと)

1968年、東京都生まれ。91年に東京23区に入区し、現在、区内児童館長(放課後児童クラブ担当兼務)。指導員歴は30年。東京都放課後児童支援員認定資格研修および資質向上研修の講師を務める。白梅学園大学非常勤講師および全国学童保育連絡協議会事務局長。