支援員のお悩み相談室 第44回 学童保育にはさまざまな子どもがいます。多様性を尊重しながら関わっていくには、どんなことを学べばいいでしょうか?

回答者:小野 さとみ

2023.03.14

学童保育に通ってくる子どもは、さまざまな背景や特性を持っているので、多様性を尊重しようと心がけています。しかし、対応に悩むことも多く、学び続ける必要性を感じています。どのようなところから取り組んでいけばいいのでしょうか。

研修などを通して幅広い知識と視野を持ちましょう。経験を積みながら、学び続けることが大事です。

 

子ども一人ひとりがかけがえのない存在。人格を尊重した育成支援を

学童保育には、さまざまな背景を持つ子どもが通っています。障害のある子や医療的ケアが必要な子、外国籍の子もいますし、保護者の疾病や障害、貧困、虐待の恐れがあるなど、家庭での養育について特別な支援を必要としている状況の子もいます。支援員は、子どもの人権に配慮するとともに、一人ひとりの子どもの人格を尊重して育成支援を行う必要があります。

障害のある子が安全に安心して学童保育で過ごすためには、その子の特性に応じた援助や環境整備が必要です。保護者と連携しながら個別の育成計画を作成するなど計画的な育成支援が求められます。児童虐待が疑われる場合は、速やかに関係機関と連携を図りながら対応していきます。貧困や養育困難、子育てと仕事の両立が難しいひとり親家庭、DV(ドメスティックバイオレンス)など、家庭での養育に特別の支援が必要なら、市区町村や専門機関につないで連携しながら取り組んでいきます。

また、最近はジェンダー(社会的な性別)への視点も重要です。「男の子みたいな乱暴なことはしませんよ」「これは女の子の遊びでしょ」といった、ジェンダーバイアス(性別による役割意識への偏見)による表現をしないようにすることが大切です。ランドセルや持ち物の色も、「男の子は黒や青」「女の子は赤やピンク」と決めつけるのは配慮に欠けています。学童保育では、性別で役割分担を決めつけずに、「自分が好きなものを選択できる」という環境を支援員がつくっていかなくてはなりません。

このように、子どもの多様性に対して尊厳を持って関わっていくには、支援員に専門的な知識が必要です。社会的な変化についても常に学びながら、子ども一人ひとりへの対応が求められているのです。


 

資質向上のために研修を受けるのは支援員の権利

放課後児童支援員の認定資格研修を受けた支援員は、その後も、市区町村で開催される資質向上研修などを受けることが求められます。子どもの遊び、育成支援の内容、保護者支援、安全管理・衛生指導などのテーマの研修が行われています。

行政レベルで実施される研修のほかに、運営法人など職場で取り組む研修も大切です。保護者対応や、メンタルヘルス、ハラスメント、児童虐待防止などの実践的なテーマに取り組めるといいですね。初任者向け、中堅者向け、管理者向けといった、経験年数や立場の違いによる視点の研修も欠かせません。

学童保育の運営者側が、支援員が研修に参加することを保障するのも大事です。厚生労働省が定める「放課後児童クラブ運営指針」では、「事業者は資質向上のために職場内外の研修の機会を確保しなければならない」としています。事業所は支援員に学ばせる義務があり、支援員には学ぶ権利があることを周知してほしいですね。

それに加えて、自分で「必要性を感じる」「知識を高めたい」と思う部分の自己研さんは積極的に行いましょう。遊びなど興味があるテーマの本や、学童保育の専門書を読んだり、全国各地で開催されている学童保育の研修会や、コーチングやアンガーマネージメントなどのセミナーに参加したり、さまざまな学び方があります。最近は、オンラインで開催される研修も増えています。本サイトの「支援員のお悩み相談室」も、過去の質問内容で自分の悩みに近いテーマがあったら繰り返し読んでみてください。

興味があるテーマや現場で悩んでいることを調べてみたら、それに関連する研修や資料の情報が見つかるでしょう。知識を得たあとに同僚と意見交換すると、さらに学びが深まります。自分で知識や視野を広げていく視点を常に持ち続けてほしいと思います。


(文・構成 生島典子)

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小野 さとみ

回答者プロフィール小野 さとみ (おの・さとみ)

1962年愛知県生まれ。名古屋市、東京都八王子市や町田市で放課後児童クラブ支援員として勤務し、支援員歴37年。現在は町田市の放課後児童クラブの支援員。
全国学童保育連絡協議会・副会長、月刊『日本の学童ほいく』編集担当役員を務める。