支援員のお悩み相談室 第48回 私は正規職員です。学童での活動が滞りがちだからか、仕事内容について非正規職員から不満を抱かれ孤立しています。

回答者:吉岡 れいこ

2023.09.19

 民営学童クラブに勤務する正規職員です。正規職員が2人と非正規の支援員が2人の4人態勢で取り組んでいます。学童での活動が滞りがちだからか、支援員歴10年以上のベテランの非正規支援員から私の仕事内容に不満を抱かれ孤立しています。もう1人の正規職員とも考えが合わず、私の仕事もあまり評価されていません。児童に対する思いも共有できず、仕事を続けていく自信がありません。 

支援員が行うべき基本の仕事に立ち返り、学童全体がチームとして取り組めるようにしていきましょう。

方向性のすり合わせをして、子どもの情報を共有することから

学童保育には正規、非正規、パート、アルバイトなど、いろいろな雇用形態の支援員がいますから、意見の対立は起こりうることです。子どものことで悩むのはいいことだと思いますが、職員同士でもめるのはつらいですね。でも、立場の違いを超え、一丸となって子どもに向き合わなくてはいけません。支援員が目指すべき基本となる目標は、「子どもが楽しく放課後を過ごせる」ようにすること。まずは、そのことを支援員みんなが認識して、意見の違いをすり合わせながら着地点を見いだすことが大事です。

ほかの支援員とうまくいっていないなら、一度基本に立ち返り、子どものほうを向いてみてはどうでしょうか。もちろん、支援員同士で方向性をすり合わせる努力は継続しながらです。「子どもがどうしたら楽しく過ごせるのか」を考えて、一緒に遊びながら子ども一人ひとりの声を聞く努力をしてみましょう。遊びの中から感じた子どもたちの様子や、気になることなどを会議や打ち合わせの場で共有していけば、そこから大人同士のつながりや共感が生まれてくるかもしれません。

自分で「仕事が滞りがち」「子どもが楽しく過ごす工夫ができない」と感じるなら、研修やセミナーを受けたり、本を読んだりして積極的に学びを深めることもおすすめします。コロナ禍以降、オンラインで研修やセミナーを受けられる時代になりました。学んだことを「(自分の意見ではなく)ここに書いてあることをやってみませんか?」と提案してみてはどうでしょう。その実践が支援員同士で意見交換をするきっかけになることも。研修やセミナーなどに参加して、自分と同じようにがんばったり、悩んでいたりする支援員がいるとわかるだけでも力になります。学童の中で孤立している場合は、外部の仲間とつながることで救われる可能性もあるでしょう。

 

ひとりで抱え込まずにチームでカバーできるように

「私は正規職員だから」と思い過ぎたり、不必要なプライドを持っていたりする場合は要注意です。そういうところをほかの支援員が感じ取ると反発されてしまいますし、支援員同士が信頼関係を築けず不安定なままだと、ネガティブな雰囲気が子どもにも伝わっていきます。「この先生に言ったら許してくれるけど、どうせほかの先生に言ったらダメと言われる」というようなことが起こると、子どもは何を判断基準にすればいいのかわからなくなってしまいます。そういう意味でも支援員の意思統一は大事です。

相談者は、「正規職員だから、何でも自分がやらないといけない」と考えすぎている面もあるのではないでしょうか。ひとりで何もかもやろうとするとしんどいので、ベテランの支援員がいるなら、「教えてください」と協力を仰ぐスタンスを出していくのはどうでしょう。「これをお願いできますか」「わからないから、教えてもらえますか」と頼っていく部分があってもいいと思います。その際、「ベテランだからやってね」と丸投げしないように気をつけます。頼んだ結果、「ちょっとやり方が違うな」と思っても、その場では否定せずに「ありがとうございました」と尊重する姿勢を見せましょう。

子どもから見れば、「正規か非正規か」「新人かベテランか」は関係なく、「楽しく遊んでくれる大人」「自分の気持ちを否定せずに聞いてくれる大人」「してはいけないことをちゃんと注意してくれる大人」がいい支援員です。若い支援員がいるなら、体を使った遊びをお任せするのもいいですね。「じっくり話を聞ける」「言い聞かせるのが上手」「保護者とのコミュニケーションが得意」といったように、支援員が適材適所で力を発揮し、苦手な部分をチーム全体で補い合って運営できるのが理想です。相談者もそういうチームがつくれるように工夫してみてください。


(文・構成 生島典子)

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吉岡 れいこ

回答者プロフィール吉岡 れいこ (よしおか・れいこ)

兵庫県生まれ。大阪府の放課後児童クラブ支援員として勤務し、支援員歴 15 年。
月刊『日本の学童ほいく』の編集委員を2年間勤めた経験あり。