支援員のお悩み相談室 第51回 学童保育の主任になりました。支援員みんなが同じ方向を向いて活動できるように するには、どういうことに気を付ければいいですか? (支援員編)

回答者:田嶌 大樹

2023.12.18
学童保育の主任になり、これから全体をみていかなくてはいけないと感じています。毎日の遊びだけでなく、1年を通して子どもの成長を見守り、支援員が同じ方向を向いて活動できるようにしていきたいと思っています。どういうことに気を付けていけばいいでしょうか?

※「年間運営指針」について、「子ども編」と「支援員編」の2回に分けてご紹介しています。今回は「支援員編」です。(第50回「子ども編」はこちら

「年間運営指針」を、さまざまな経歴の支援員が認識を共有するためのコミュニケーションツールとして使いましょう。

子どもの「活動目標」を軸に、支援員の運営目標や関わり方を考える

「年間運営指針」について、何を目指して集団生活をするのかを記した「子ども編」に引き続き、今回は支援員が同じ方向を向いて活動するための指針についてご説明します。子ども編で紹介した「こういう姿が見えるといいな」という活動目標を実現していくためにも、支援員の運営目標も「見える化」していきましょう。

支援員向けの「年間運営指針」を作るとき、子ども編で作った月ごとの「活動目標」を軸にして考えます。放課後児童クラブは子どもが「来てよかった」「成長できた」と思える場であることが大事なので、基本になるのはやはり子どもの活動なのです。まず、子どもの活動目標を支え、安全に生活していくための「運営目標」、より具体的な子どもへの「声かけ・関わり方のポイント」、身に付けておきたい知識を学ぶ「研修」などの項目を設定し、月ごとに支援員がどんなことを意識していけばいいかを書き込んでいきます。

【参考例】年間運営指針(支援員編)
4~6月



7~9月



10~12月

 


1~3月



【年間運営指針 制作のポイント】
  • 1)支援員の運営目標
    • 4~6月:子ども同士の交流や活動が促進されるような環境整備、など
    • 7~9月:子どもが新しいことにチャレンジするきっかけづくりや声かけ、など。
    • 10~12月:子どもが主体的に行動できるよう支援する、など。
    • 1~3月:今年度の振り返りを行う、新年度に向けた準備をする、など。

  • 2)声かけ・関わり方のポイント
    • 4~6月:子どもの性質、特性を理解し先を見越して次の動きを促す、など。
    • 7~9月:自分で自分の遊びを見つけられるように提案する、など。
    • 10~12月:自分で考える時間を持てるような問いかけをする、など。
    • 1~3月:学年が上がる心の準備、3年生には自立を促す声かけ、など。

  • 3)研修
    • AED、エピペンビデオ研修、アレルギー研修、救命救急、避難訓練、など。

  • 4)ミーティング(通常の打ち合わせとは別に)
    • コンプライアンスについて、子どもの権利について、など。

子どもは1年~3年生までを1回しか経験できませんが、支援員の場合は3年をひとまとまりとして循環し、経験の積み重ねがあります。長年勤めている支援員が、1年目の新米支援員と同じことをすればいいわけではなく、ベテラン支援員は自分たちの自己評価をしながら、「今年はこういうことができるね」ということを実践したり、提案したりして運営目標に落とし込んでいけると、よりレベルが上がっていくと思います。


卒所してから、放課後を楽しむ力を身につけてほしい

子どもにとって放課後児童クラブのゴールは卒所です。卒所したあとは、今までと違う放課後の生活が待っているはずです。自分で遊び場を見つけたり、新しい友達と関わったりしながら自分らしく過ごすためにも、在籍中に「自立した力」を身につけられるよう意識させる必要があります。

放課後の過ごし方のひとつの区切りとして、年度の終りに卒所セレモニーを設けることは重要な意味があります。1月くらいから卒所に向けた取り組みを始めましょう。1~2年生は「ありがとう」の気持ちを伝えるために準備をし、3年生は下級生にこれからの施設を「託す」ことを伝えるためにミーティングを重ねていきます。卒所式で3年生が立派な姿を見せることは、下級生が成長する大きなきっかけになります。支援員は放課後児童クラブで学んだことを卒所してからも活かせるように応援のメッセージを贈りましょう。

「年間運営指針」は支援員みんなでアップデートしていく

「年間運営指針」は 一度作ったら完成というものではありません。指針を参考に活動しながら、「こうしたほうがいいのでは」という改善点が出てくれば、どんどんアップデートしてください。まずは、全体を見渡している施設長や主任が骨子を考えて、現場の子どもをよく見ている支援員が内容をブラッシュアップしていくといいでしょう。

放課後児童クラブの現場は、支援員の入れ替わりが激しく、経験年数や力量にばらつきがあります。声の大きいベテラン支援員に違和感や意見を伝えにくいことはありませんか。また、日々の業務に追われて、「みんな当然わかっているはず」というようなことも微妙に認識がずれてきたり、子どもの関わり方がバラバラだったりすることもあるでしょう。

そういう日々の小さなモヤモヤを放置しておくと、積み重なって大きなストレスになってしまいます。自分たちの放課後児童クラブがいい方向に向かっていくためにも、子ども同士、支援員同士、子どもと支援員、それぞれのコミュニケーションが欠かせません。いろいろな意見を集約しながら、みんなが認識を共有して集団を動かしていくツールとして、「年間運営指針」を運用してほしいと思います。


(文・構成 米原晶子)

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田嶌 大樹

回答者プロフィール田嶌 大樹 (たじま・ひろき)

東京学芸大学 児童・生徒支援連携コンソーシアム特命助教
専門は「あそび」を核にしたスポーツ・教育実践研究。現在は、放課後児童クラブにおける遊びの研究、企業や地域の大人と大学生・子どもを巻き込んだ学校外教育フィールドの開発、運動遊びを通じて子どもの能力を高めるプログラムの開発などに取り組む。学校教員研修や放課後児童クラブ支援員向け講座などの講師も務め、その活動は多岐にわたる。
著書『子どもの貧困とチームアプローチ “見えない” “見えにくい”を乗り越えるために』(共著・松田恵示監修/書肆クラルテ)では、大学生が社会課題の解決を目指して教育実践をしながら学ぶ「サービスラーニング」について論じている。

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